大塚のアミューズメントカジノRespoで開催されている「ボドゲチックポーカー」が大変面白いです。
基本的なルールはノーリミットホールデムと同じなのですが、「特殊カード」によって戦略性が増し、ミックスゲームにも似て大変エキサイティングなゲームになっています。かつ、特殊カードの中にはポーカーの実力があればより効果を発揮できるようなカードも多く、本格的なポーカープレイヤーにもオススメできますので、本記事にてボドゲチックポーカーの紹介ができればと思います。
※本記事に書かれているルールおよびカードの説明は、筆者が参加した時点でのルールとなります。ボドゲチックポーカーは現在も進化が続いているゲームのため、今後ルールやカードの効果が変わる可能性があることをご承知おきください。
また、カードの利用方法などの説明はあくまで筆者の考えです。大いに別意見などいただけますと大変嬉しく思います。
特殊カードの説明
特殊カードとは
- プレイヤーは2枚の特殊カードが配られた状態でスタートします。
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特殊カードは自分にアクション権を持っている状態でないと使用できません(ただし一部の特殊カードを除きます)。例えばオールインを行ったりフォールドをした場合はアクション権が無いため、特殊カードを使用できません。
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特殊カードを使用する際は、ディーラーに対して特殊カードを使用する旨と使用するカード・(あれば)対象を宣言して使用します。
- カードには、使用可能なラウンド(プリフロップ~リバー)が定められています。使用可能なラウンド以外では使用できません。
- 使用した特殊カードは捨て札となります。特殊カードの総量は決まっていないため、特定の特殊カードが尽きてもう出てこない、ということはありません。
特殊カードの獲得について
- ストラクチャーレベルアップ時に、特殊カードのセリが行われます。
- テーブル人数分だけ特殊カードが公開され、セリに参加したいプレイヤーは最低額1BB以上を入札します(参加しない場合は入札しないでOK)。
- 全員の入札が完了したら一斉に入札額を公開し、入札額の高い順に欲しいカードを1枚獲得します(同額の場合はポジションの悪いプレイヤーが優先)。なお、この時に支払うチップはディーラーに渡ります(つまり、普通のNLHと異なりテーブル全体のチップ量が減額します)。
- 特殊カードは最大3枚まで保持できます。3枚持った状態で特殊カードを獲得した場合は、任意のカード1枚を捨て札とします。
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プレイヤー間での特殊カードの譲渡・売買はできません。
ここからは特殊カードの内容およびその利用例を説明します。なお本記事以外にも特殊カードはありますので、ぜひ一度足を運んでプレイしてみてください*1。
まずは初級者向けとして、とりあえずこれを持っておけばボドゲチックポーカーの醍醐味が味わえるカードを紹介します。
特殊カード紹介(初級者向け)
革命!
利用可能ラウンド:プリフロップ~フロップ
効果:役の強さが逆転する(キッカーも逆転する)
制約:このカードを保持している場合は、必ずオープンにしなければならない。また、ストラクチャーレベルアップ時点でこのカードは破棄しなければならない。
ボトゲチックポーカーといえばこのカード、と言ってもいいくらいのカードです。非常に強いカードのために制約が追加されましたが、それでもなお強く人気の高いカードです。
「役の強さが逆転する」と効果の内容はシンプルです。しかし、これが意味することは「オープンするハンドレンジやベットアクションが大幅に変わる」ことです。例えば32oは十中八九プリフロフォールドするハンドです。しかし「革命!」を持っているだけで堂々とプリフロでオープンできます。フロップの3枚を確認して、ドローがついたり2ペアができたのであればカードを使わずに戦う選択肢が生まれるし、箸にも棒にもかからないフロップであれば(大抵の場合そうなります)、このカードを使って相手にプレッシャーを与え、ポットを獲得することも十分に可能です。またSB、BBでオープンに対するコールを正当化する際にも利用できます。
一点注意しなければならないのは「強いので人気が高い」ことです。つまりセリで得るためには、ほとんどの場合ある程度のチップを払わないと獲得できません。そのため、「SB、BBでオープンに対するコールを正当化する」と書きましたが、それだけでは競り落としたコストに対して見合わない可能性が高いです。コストパフォーマンスという観点から考えると、マルチの時に利用する&ブラフを混ぜた3betを行うなど、ポットが膨らむような状況にしてからにして利用すると効果的でしょう。
本カードに対する対策としては、後述する「それはだめ!」を持って備えるか、本カードの効果ラウンドであるプリフロップからフロップまではポットを膨らませないよう積極的なベットをしない、などが考えられます。「相手が革命を使うことを見越して弱いハンドで入る」という対策もできますが、横からのコールや3betに弱いので慎重に行う必要があります。
弱者生存
利用可能ラウンド:プリフロップ~ターン
効果:ストレート以上の役が無効になる
ストレート以上の役を無効にする特殊カードです。つまり最強の役はスリーカードになります。想像がつきやすいと思いますが、ポケットを持っているときに非常に心強い特殊カードです。フロップベットにドローでついてこられ、ターンで完成されたとしてもこのカードがあれば心配いりません。AAをガットストレートに割られてしまい涙で枕を濡らす夜とはこれでさよならです。
本カードの有効ラウンドはターンまでであることに注意してください。リバーでストレートあるいはフラッシュが完成してそうだから本カードを使おうとしても手遅れです。使い所を勘違いして涙で枕を濡らさないようにしてください。
それはだめ!
利用可能ラウンド:プリフロップ~リバー
効果:任意の特殊カードの効果を打ち消す
特殊カードの効果を打ち消すカードです。革命などの強いカードの抑止力になりえる「持っている事自体が強みになる」カウンターカードです。もし普通のポーカーで勝負をしたい場合は積極的に取りに行きたいカードです。とはいえ、このカードはあくまでカウンター用のカードで、積極的に有利な局面を作れるカードというわけではありません。せっかくのボドゲチックポーカーなのですから、本カードは抑止力として1枚だけ保持した上で、保持できる他の2枚を攻めのカードとして持ったほうが、より楽しめると思います。
次に紹介するのは中級者向けカードです*2。ボドゲチックポーカーに慣れてきたら使ってみると良いでしょう。ポーカーの面白さをより引き立てて複雑な戦略を立てやすくなるカードです。
特殊カード紹介(中級者向け)
プラスワン
利用可能ラウンド:フロップ
効果:任意のコミュニティカード1枚の数字を+1する
マイナスワン
利用可能ラウンド:フロップ
効果:任意のコミュニティカード1枚の数字を-1する
コミュニティカードの数字を1増やす(減らす)シンプルな特殊カード。この特殊カードを使いこなせる人は、ボドゲチックポーカーも普通のポーカーも強いプレイヤーだと個人的には思います。
この特殊カードは「ポケットとコネクターをより強くする」特殊カードです。「ポケットでセットを作る」「コネクターでストレート、あるいはオープンエンドの状態にする」ことで有利にするのが基本的な戦い方です。裏を返せば、これをブラフとして使うこともできます。オープンエンドで戦っているのか、セットを刺しているのかの二択を迫るなど、用途は様々です。ブラフを学びたい方は、この特殊カードを練習の題材として使うと良いかもしれません。ただし利用可能ラウンドはフロップのみなので、そこはご注意を。
それ変えて!
利用可能ラウンド:フロップ
効果:任意のコミュニティカードを1枚を破棄し、新しくカードを引き直す
コミュニティカードの1枚を引き直すカードです。先程のプラスワン・マイナスワンとはちょっと違い、カードがスートも含めて新しくなる(かつ、どう変わるかわからない)ためギャンブル性は高くなります。例えばミドルポケットで1枚AやKのハイカードが落ちてしまった場合、本カードを利用して消してしまうことができます。他、ストレートやフラッシュのドローであれば、本カードを使ってシンプルにチャンスを1回増やすこともできるでしょう。本カードもブラフの練習として利用できます。ただし引き直した結果、ブラフには使えなさそうなカードが出てしまう可能性も当然あるので、そこはご注意を。
次いこ、次!
利用可能ラウンド:プリフロップ~フロップ
効果:このハンドを終わらせて引き分けにする
よく「1回だけコール」「とりあえずフロップを見たい」と考えている方には、本カードが魅力的なカードに見えるでしょう。とりあえずフロップで入って、もしダメだったら本カードを使ってハンドを終わらせてしまえば良いのです。ポケットで入ってポケット以上のカードがずらりと出てきたり、スーテッドで入ってフロップに該当スートが1枚も無いという絶望的な状況でも、このカードを使うことで損失を減らせます。というわけで、こちらもローポケットやミドルポケット、コネクターやスーテッドの価値を上げるカードと言えるでしょう。
次は上級者向けカードです。正直なところ、筆者もこのカードのどのように使えば良いのかあまりきちんと説明ができません。ひとえにポーカーそのものの実力が足りていないからですが、だからこそ研究しがいのあるカードと言えます。
特殊カード紹介(上級者向け)
Raise or Fold
利用可能ラウンド:プリフロップ~リバー
効果:相手のアクションがレイズ・フォールドのみとなる(相手はコールができなくなる)。
相手のアクションを制限するカードです。本カードを使うには「相手がコールできなくなるのが嫌な状況であること」を見極める必要があります。ドロー系と思われる相手に安いベットをする、など利用できる場面はあると思うのですが、いかんせんカード使用シチュエーション、ポーカーのアクション理解不足で有効な利用シーンがあまり思いつかないです。一つ有効に使えるケースがあるとすれば、「相手がカードを使った後に、そのまま次のラウンド進ませない(相手がカードを使ったら必ずこちらがそのラウンドで対策を取れる)」というケースはあるでしょう。他に、ぜひ有効なシチュエーションを発見して教えていただけると幸いです*3。
投資家
利用可能ラウンド:フロップ~リバー
効果:使用者はディーラーに、このハンドの勝者と賭金をディーラーに非公開で伝える。ハンドの勝者を当てることができれば、賭金分をディーラーから受け取れる。ただし外れたら賭金分を失う
制約:このカードフォールドしてアクション権を失った状態でのみを使用できる。また、自分がフォールドすることでハンドの勝者が決定する場合、このカードは使用できない。
自分がフォールドした時のみ使用できる特殊カードです。いわゆる勝者予想ですが、観戦が非常にスリリングになる楽しいカードです。基本的にはポジションが良いプレイヤーが有利ですが、ボードの内容やベットアクション、さらには特殊カードをプレイヤーが使う可能性が含まれるため、「いつカードを使用して予想を伝えるか」も重要です。予想を当てればダブルアップも可能なので、トナメ終盤でショートになってしまったとしても諦めずに戦うことができます。もちろんリスクも付き物で、予想を外して何もアクションしていないのに勝手に飛ぶこともあります(僕はこれで飛びました)。
本カードは観戦時のアクション観察を磨くという意味でも、非常に勉強になるカードです。ぜひ使ってみてください。
プレイ方針:アクション権の有無とラウンドの推移に注意
ボドゲチックポーカーをプレイする上で、基本ルールの中でも以下の二点は必ず押さえておいてください。
- 特殊カードはカードごとに利用できるラウンドが決まっている
- 特殊カードはアクション権が無いと使用できない
「特殊カードを使おうとしたら利用できるラウンドではなかった」というのはありがちなミスです(筆者もよくやります)。特殊カードの使用できるラウンドを把握しておくことは、自分のミスを防ぐだけではなく、相手がカードを使ってくる可能性を考慮する上でも大事です。例えばターンのアクションであれば、「革命!」が使われる可能性は無いので考慮しなくて大丈夫です(「革命!」が使用できるラウンドはフロップまでのため)。一方「弱者生存」が使われる可能性は残るため、自分がドロー系の場合は注意が必要になります。
また、カードはアクション権が無いと使用できません。つまりオールインしてしまうとアクション権が失われてしまうため、有効なカードを持っていても使えなくなります。そのためボドゲチックポーカーでは、ショートだったとしてもプリフロでオールインではなく(アクション権が残る)レイズでオープンする戦略が有効になります*4。
終わりに
筆者にとってボドゲチックポーカーは、いわゆる「ポーカーの大会」で初めて優勝した大会ということもあり、思い入れのあるゲームです。そういったこともあり、このボドゲチックポーカーがもっと広まって、より奥行きのあるゲームとして発展して欲しいと願っています*5。
この記事により、少しでもボドゲチックポーカーを楽しんでくれるプレイヤーが増えましたら望外の喜びです。
*1:特殊カードは全部で16種類ありますが、カード自体の入れ替えも発生するため、無くなるカードが出てくる可能性はあります。
*2:念のために書いておくと、このレベルは独断で書いています。配布されるカードはランダムのため、まずは臆せず積極的に使ってみましょう。
*3:ボドゲチックポーカーの特殊カードについてはまだまだ研究の余地があるため、もし同卓できましたら色々お話できると大変嬉しく思います。
*4:これを極端にすると100点残しのオールインをするという戦略もできることはできますが、相手からコールしてくる時は大抵相手もオールインしてくる、あるいは相手もカードを使おうとしてくる可能性があるため、万能ではありません。
*5:将来的にはドミニオンみたいに、様々な特殊カードから16枚を選んでプレイできるくらいになって欲しいなとも思っています